ITインフラとビジネスをつなぐツールとしてのITIL

Redmine

ITILがなくてもシステムは回る!?

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そもそも統合運用管理ツールの役割とは何でしょう。様々な答えがあるでしょうが、今回はITインフラとの関わりから考えてみたいと思います。

もともと統合運用管理ツールは、インフラ部分の管理を中心に行うものでした。具体的には、今でも行われている「サーバーの監視」「ネットワーク障害の監視」「バッチジョブのスケジュール管理」などです。要は企業内部で使われる環境の管理だけしていれば良かったわけです。ところが近年では、仮想化技術やクラウドが登場してきて、企業内環境だけを管理すれば良いというわけにはいかなくなってきました。また、利用者のニーズも多様化してきて、問い合わせ1つ取ってもどう対応して良いのかわからない場面も出て来ます。同時に、システム自体が想定以上に大規模化することによって対応に必要な人員が増え、コストが増大するという問題も増えてきました。システムが大規模化するということは、障害が起きる頻度も上がるということです。

こういった状況の中で、統合運用管理ツールに期待される役割も変わってきました。サーバー管理やジョブスケジュール管理、そして近年増加した仮想化管理など、ITインフラ環境の運用管理を支援するだけでなく、ITサービスマネジメント機能もカバーすることが求められるようになってきたのです。そして、ITサービスマネジメントのデファクトスタンダードになっているのが、ITILです。

「ITIL」という言葉は製品名にも使われるので、ITILも製品だと勘違いしそうになりますが、ITILそのものはITインフラストラクチャー・ライブラリ、つまり書籍です。重要なのはそこに記された考え方であり、ITILの名を冠した製品にはITILの考え方が反映されています。

誤解を恐れずに言えば、ITILという考え方に従わなくても、システム管理やITインフラ管理は可能です。実際、ツールを導入する前から管理業務を行っていた企業がほとんどでしょう。しかし、例えばシステムが大規模化したせいで、問い合わせのメールが捌き切れなくなったり、メールシステムがダウンしたりしたらどうでしょう。関係者はメール以外の連絡手段に頼らざるを得なくなり、それはITインフラとビジネスが断絶したということを意味します。メールに限らず、ITサービスのパフォーマンス低下に対して何のルールもなく場当たり的に対処していれば、ビジネスの効率も低下してしまいます。そのような事態を未然に防ぎ、ITサービスを問題なく、しかも高い価値を保ったまま回すための方法論がITILなのです。言わば交通整理と交通システムの効率向上を同時に達成するための指南書。今やITインフラとビジネスをつなぐツールとして、ITILは欠かせないものになっているのです。

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