プロジェクトを進める上で問題や課題が起こるのは避けられません。
そのため、「問題を発生させない」ということはもちろんですが、最も重要なのは「問題・課題をどのように管理するか」ということです。
例えば、何か問題が起こった際に適切なコミュニケーションが取れていないと、担当者が重複してしまったり、対処に遅れてしまったりと、効率が悪くなってしまいます。
さらに、どのように対応したのか、ということが記録できていなければ、同じような問題が起こった際に解決に時間がかかってしまうこともあるでしょう。
このようなお悩みを解決するのが「課題管理ツール」です。
業務効率を上げる課題管理ツールですが、中には問題点も存在します。
この記事では、課題管理ツールの一つである「Jira software」と、そのデメリットや問題点を解決する方法として「SHERPA SUITE」との連携方法をご紹介します。
課題管理とは何か
課題管理とは、プロジェクトや業務における問題点や改善点を特定し、効果的に解決するためのプロセスです。ビジネスの世界では、課題を放置すると大きな障害となる可能性があります。例えば、製品開発における品質問題を見逃せば、市場での評判低下につながりかねません。
課題管理の本質は、問題を早期に発見し、適切な対策を講じることにあります。これにより、プロジェクトの遅延やコスト超過を防ぎ、目標達成の確率を高めることができます。
効果的な課題管理には、以下の要素が重要です:
1. 課題の明確な定義
2. 優先順位付け
3. 責任者の割り当て
4. 期限の設定
5. 進捗の定期的な確認
これらを適切に実行することで、組織全体の生産性向上につながります。
課題管理のポイント
課題管理のポイントは2つあり、下記にそれぞれ解説します。
■ 課題への対応方法を明確にする
課題への対応方法を明確にすることは、効果的な課題管理の要です。まず、各課題に対して具体的なアクションプランを立てましょう。例えば、「売上増加」という課題なら、「新規顧客開拓」「既存顧客へのアップセル」など、具体的な施策に分解します。
次に、それぞれの施策に担当者を割り当て、責任を明確にします。これにより、「誰が何をするか」が明確になり、チーム全体の動きが活性化します。
さらに、各施策に期限を設定することで、進捗管理がしやすくなります。ここで重要なのは、現実的かつ挑戦的な期限設定です。
最後に、定期的な進捗確認の機会を設けましょう。これにより、問題の早期発見と迅速な対応が可能になります。
このように、対応方法を明確にすることで、課題解決への道筋が見えてくるのです。
■ 課題の終了条件を明確にする
課題の終了条件を明確にすることは、プロジェクトの成功に不可欠です。終了条件とは、その課題が解決されたと判断できる基準のことです。例えば、「顧客満足度の向上」という課題なら、「顧客アンケートでの満足度評価が80%以上」といった具体的な数値目標を設定します。
明確な終了条件があることで、チームメンバー全員が同じゴールを目指せます。また、進捗状況の把握も容易になり、必要に応じて軌道修正も可能になります。
終了条件を設定する際は、SMART基準(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性がある、Time-bound:期限がある)を意識しましょう。これにより、曖昧さのない、実効性の高い終了条件を設定できます。
課題管理ツール「SHERPA SUITE」を活用すれば、終了条件の設定から進捗管理まで一元的に行えます。効率的な課題管理で、プロジェクトの成功率を高めましょう。
課題管理表の作成方法
課題管理表の作成方法について解説します。効率的な業務遂行のためには、課題管理が不可欠です。下記では3つの工程に沿って課題管理表の作成方法について、具体的な手順やポイントを解説します。
■ 課題管理表に項目を作る
課題管理表の作成において、適切な項目設定は不可欠です。一般的には、「課題番号」「課題名」「担当者」「期限」「進捗状況」などが基本項目となります。これらに加え、「優先度」や「影響度」を設けることで、重要な課題を見逃さず対応できます。
さらに、「関連部署」や「必要リソース」といった項目を追加すると、組織全体での連携がスムーズになります。例えば、新製品開発プロジェクトでは、「市場調査結果」や「技術的課題」などの項目を設けることで、より具体的な課題管理が可能になるでしょう。
また、課題の「発生日」と「解決日」を記録することで、解決までにかかる時間の傾向を把握し、今後の改善に活かせます。これらの項目を組み合わせることで、プロジェクトの全体像を俯瞰しつつ、個々の課題に効果的に対応できる課題管理表が完成します。
■ 重要課題から記入する
重要課題から記入することは、効果的な課題管理の要です。なぜなら、限られた時間とリソースを最も影響力のある問題に集中させることができるからです。例えば、新製品開発プロジェクトで市場調査結果が芳しくない場合、それを最優先課題として記入し、対策を練ることが重要です。
優先順位付けの際は、「緊急性」と「重要性」の2軸で評価するアイゼンハワーマトリクスを活用すると効果的です。(※1) これにより、本当に重要な課題に焦点を当てることができます。
重要課題を特定したら、その解決が組織にもたらす具体的な利益を明確にしましょう。例えば、「顧客満足度の10%向上」や「生産性の15%改善」といった具体的な目標を設定することで、チーム全体の意識が高まり、課題解決への取り組みが加速します。
■ 漏れなく登録・更新する
課題管理の成功には、漏れなく登録・更新することが不可欠です。プロジェクトの進行中、新たな課題が次々と発生するため、これらを逃さず記録することが重要です。例えば、週次のミーティングで課題の洗い出しを行い、その場で課題管理表に追加する習慣をつけましょう。
また、既存の課題の進捗状況も定期的に更新することが大切です。SHERPA SUITEのような課題管理ツールを活用すれば、リアルタイムで情報を共有し、チーム全体で最新の状況を把握できます。
さらに、解決済みの課題も削除せず、履歴として残すことをおすすめします。これにより、過去の対応策を参照でき、類似の問題が発生した際に迅速な対応が可能になります。漏れのない課題管理は、プロジェクトの成功率を大きく向上させる鍵となるのです。
課題管理ツールが必要となった背景
最初期のプログラミングでは、パンチカードに穴を空けることでプログラムを構成していました。
一説には、6万2500枚のカードで4.5MBというサイズだったとか。
現在では、プログラミング言語の進化に伴い、様々な開発手法、開発ツールが発表されています。
例えば、MacではXcodeという開発ツールが誰でも無料でダウンロードでき、macOSやiOSなどのアプリ開発を行うことができます(開発者登録は有料)。
また、開発手法も進化を遂げており、最近ではアジャイルという開発手法が注目されています。
アジャイルとは「素早い」「俊敏な」といった意味の英単語。
プログラムやソフトウェアの開発というと、膨大な作業に多人数で取り組み、長い期間をかけてようやくゴール!といったイメージを持つ人が多いかも知れません。
しかし、長大なコードを書き上げていざ運用というときにトラブルが生じたら、原因究明に時間がかかって販売計画に多大なダメージを与えることも考えられます。
アジャイル開発では、大きな単位でプロジェクトを進めることはありません。小単位で実装、テストを繰り返すことで開発を進めます。
つまり、「途中で設計や仕様の変更があることは当たり前」という前提に立っているのです。
大きな単位では、急な変更があったときに右往左往してしまいそうですが、アジャイル開発では変更に柔軟に対応しながら開発を進めることができ、結果として期間を短縮することが可能になります。
これは、例えばモバイルアプリの開発など、日進月歩で技術革新が進むプロジェクトに向いた手法です。
ただ、急な仕様の変更や期間の変更に対応していくには、課題の管理やスケジュール管理、チーム全体でコミュニケーションを適切に取ることが重要です。
そのために、アジャイル開発を支援する「課題管理ツール」の需要が現在高まっているのです。
今回ご紹介する「Jira Software」も課題管理ツールの1つです。
Jira Softwareの特徴
Jira Softwareはプロジェクト全体を管理するためのツールで、チーム全体のタスクや計画を共有することから始まり、タスク管理、工数管理、進捗管理、スケジュール管理などを必要に応じて組み込むことができます。
主な特徴として挙げられるのは、以下の7点です。
- 高いカスタマイズ性(アジャイル開発に向いている)
- スクラムボード(コミュニケーションを活発化する)
- カンバンボード(タスクを可視化する)
- ロードマップ(計画を共有する)
- 12種類以上のアジャイルレポート
- 課題とコードを結びつける
- Slackとの連携
Jira Softwareはカスタマイズ性が高いため、複数のチームが並行してプロジェクトを進めるアジャイル開発にも馴染みやすいという特徴があります。
チームの役割やイベント、全体の作業情報などは「スクラムボード(※1)」で可視化されます。
※1「スクラム開発」…ラグビーのようにコミュニケーションを取りながらチーム全員でプロジェクトに取り組むための手法
また、タスクはすべて「カンバンボード」で可視化され、蓄積された作業ノウハウなどにもチーム全体が簡単にアクセスできるようになります。
プロジェクトは「ロードマップ」で表示。
例えばガントチャートでスケジュールや工数を計算し、プロジェクトとの関係性を明示しておくことができます。
12種類のテンプレートがある「アジャイルレポート」には、チームのメンバー全員がアクセス可能なデータがリアルタイムに反映されます。
負担が大きい人を素早く見つけ出し、工数を適正に配分することを可能にします。
タスクは「チケット」として管理され、カンバンボードなどで活用されます。さらにSlackなど、他の情報共有ツールとの連携も可能です。
Slackには扱いやすいチャット機能があり、話し合ったことをJira Softwareの計画に素早く反映させることができます。
また、チケットには様々な情報を入力できることから、システム開発だけでなく、営業部門などでもJira Softwareは広く活用されています。
【関連記事】情報を見逃さないSlack×SHERPA SUITE連携とは
Jira Softwareの問題点
Jira Softwareはエンジニア向けの課題管理ツールの中で最も機能が充実していると言われています。
一方で、次のようなデメリットも指摘されています。
アジャイル開発向けのツールなので他の用途には向かない
Jira Softwareはアジャイル開発向けのツールになります。
エンジニア以外のタスク管理、アジャイル開発以外の使用目的には向かないことも。
日本語の書籍等が少ない
Jira Softwareを開発したアトラシアンが日本市場に本格進出したのは2013年。
書籍やネットの情報はまだ不足気味です。
障害が発生すると使えなくなる
Jira Softwareなどのアトラシアン製品はサーバ版、データセンター版、クラウド版が提供されていましたが、2024年2月にサーバ版のサポートは終了。
クラウド版に移行した場合は、大本のサーバーが落ちると使えなくなります。
障害が発生すると使えなくなるのはちょっと不安ですね。
また、Jira Softwareは様々なツールと連携を取ることができるのですが、例えばインシデント管理にも使おうとするとJira ITSMという別のソリューションが必要になります。
業務が拡大していくとソフトウェア導入のコストがかさんだり、他のツールと併用することでオペレーターの習熟に労力を割かれるかもしれません。
こういった状況に強力な解決策を提供するのが、SHERPA SUITEです。
SHERPA SUITE導入のメリット
SHERPA SUITEは検知・通知系ソリューションと管理系ソリューションから成るOSS(オープンソースソフトウェア)で、プロジェクト管理ツールの老舗であるRedmineをベースに開発されています。
SHERPA SUITEは主に3つのツールから成ります。
システム運用管理では大量にアラートが発生しますが、これらを自動で分析・振り分けし、「チケット」として自動登録できます。
適切な担当者に連絡を取り、インシデントを適切に処理したら再びすべてを記録します。
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)準拠の管理システムに取り込むことで業務改善にもつなげることができるソリューションが、SHERPA SUITEです。
このSHERPA SUITEは、チケットを活用することで「問合せ管理機能」にも対応。
オプションで「自動電話通知」も使えるようになっており、これらを統一されたインターフェースで操作できるのが特徴です。
ちなみにSHERPA SUITEの提供方式はオンプレミスなので、クラウドに障害が起きても問題なく動作します。
SHERPA SUITEはリーズナブルな価格で導入できるOSSソリューションでありながら、自動化・可視化による作業効率化でコア業務に対する集中率を上げることができます。
さらには、多彩なシステムを一括管理可能なため、オペレーター育成の労力が最小限で済むなど、“お値段以上”のサービスとなっています。
Jira SoftwareへのSHERPA SUITE活用例
SHERPA SUITEは運用管理ツールであり、Jira Softwareは開発のためのツールで、本質的には別物ですが、SHERPA SUITEの「コマンドランナー」機能を使うと、業務に影響することなく両者を連携させることもできます。
具体的には、運用者が開発者にエスカレーションするとき、開発者が運用者にフィードバックするときに、コマンドランナーが機能するようにします。
コマンドランナーはSHERPA-SMの機能の1つで、ステータスの更新に合わせてコマンドを起動します。例えば、以下のような運用が考えられます。
- Jira連携ステータスになったら、チケットの情報から連携したいカスタムフィールドをJiraに記入するようコマンドを設定する
- SHERPA-SM側のチケット番号や問い合わせ番号もJira側に連携するように設定しておく
- フィードバックのときは、チケット番号さえきちんと入力すれば、SHERPA-SM側で同一のチケット情報として管理できる(SHERPA-SMでは独自のIDをチケットに割り当てるので、担当者が替わっても素早く案件の履歴に到達することが可能)
コマンドランナーを利用すれば、開発者も運用者も最小限の手間で情報を共有することが可能になります。
まとめ
Jira Softwareを使っている方の中には「使いにくい」といった声もありますが、「SHERPA SUITE」のようなツールを併用することで、使いやすく、また、より業務の効率化を目指すことができます。
課題管理ツールを使っている方、また、これから導入を考えている方はぜひ参考にしてください。