ジョブ管理は、サーバー管理において、システムの円滑な運用と最適なパフォーマンスを実現するために欠かせません。
システムがスムーズに動作し、最適な性能を発揮するために必要な自動化タスクやリソースの効率的な利用をするために必要なのです。
システムではさまざまなタスクが同時に進行するため、タスクを調整し、システム全体のパフォーマンスを最大化することも必要になります。
また、システムの健全な運用に欠かせない重要な作業もジョブ管理によって行われます。
このように多くの役割を果たしているジョブ管理は、ツールを活用して自動化することによって効率的に行うことができます。
統合監視ツールに関しては、「Zabbix」であればサポートが充実しているものとして有名で、「Nagios」であれば最も歴史が古い「古豪」として名高いということができますが、いずれも海外で開発された製品(OSS:オープンソースソフトウェア)です。
しかし、システム運用管理ソリューションの開発には、国内企業も乗り出しています。
「JP1」はその1つです。
ジョブ管理は、サーバー管理において、システムの円滑な運用と最適なパフォーマンスを実現するために欠かせません。
ジョブ管理ツール「JP1」とは?
JP1は、日立製作所が開発した統合システム運用管理ソフトウェアです。
今回は、JP1を例に挙げて、ジョブ管理を効率的に行っていく方法を解説していきます。
このシステムのオープン化により、様々なメーカーのサーバーで業務運用ができるようになったのですが、同時にメインフレームでは当然のように提供されていた自動化機能が提供されなくなり、運用の負担が増大していました。
これに対応しようと開発が始まったのがJP1です。
1994年にJP1はUNIX対応版としてデビュー、1995年にはWindows NT版がリリースされました。
Windows版は日本初のジョブ管理製品であり、他社に先駆けてマルチプラットフォーム対応を果たした統合システム運用管理へと進展していきます。
1999年には、本格的な海外事業展開も始まりました。
ここからは、JP1の強みと問題点、その解決方法を共に紹介していきます。
JP1の強み
現在のJP1は、
- IT資産の管理
- 稼働状況の把握
- 定型業務の自動化
- セキュリティ対策
などを統合的に行うことができるソフトウェア群・サービス群から成っています。
対応するシステムの規模も1台から数千台まで拡張することが可能です。
JP1は、
- 「オートメーション」
- 「モニタリング」
- 「コンプライアンス」
の3分野でサービスを展開しており、様々なソフトウェアの中から必要なものを組み合わせてシステムを構成するようになっています。
組み合わせて使用できるソフトウェア製品には以下のものがあります(クラウドサービスも提供)。
統合管理 | ・JP1/Integrated Management 2 ・JP1/TELstaff AE Professional Edition |
ITサービス管理 | JP1/Service Support |
IT運用自動化 | ・JP1/Automatic Operation ・JP1/Navigation Platform ・JP1/IT Process Operations ・JP1/IT Process Operations for RPA |
インフラストラクチャ管理 | JP1/Operations Analytics |
パフォーマンス管理 | JP1/Performance Management |
ネットワーク管理 | ・JP1/Network Node Manager i ・JP1/SNMP System Observer |
ジョブ管理 | ・JP1/Automatic Job Management System 3 ・JP1/Client Process Automation ・JP1/Data Highway ・JP1/VERITAS NetBackup ・JP1/VERITAS Backup Exec |
資産・配布管理 | JP1/IT Desktop Management 2 |
セキュリティ管理 | JP1/秘文 |
JP1の問題点
機能拡張を続けてきたJP1は、システム運用全般をカバーできるソリューションになっています。
例えば、監視ツールとしてはJP1/Performance Managementなどが対応しています。
したがってシステム運用管理をJP1にすべて任せてしまうのも1つの方法ですが、問題になるのはコストです。
システム運用全般にJP1を導入するとそれなりのコストがかかりますし、企業の規模に合わせて一部の機能のみ使いたい場合も多いでしょう。
そもそも運用管理は「利益を生まない部署」と目されていることが多い、という事情もあります。
また、他のツールと併用する場合もありますが、複数のツールを使用する環境はオペレーターにとって負担となりがちです。
JP1は多岐にわたる機能から選択して構築できますが、コストと使い勝手は思案のしどころ。
この問題の解決策を提供するのが、SHERPA SUITEです。
JP1の効率を上げる「SHERPA SUITE」とは?
SHERPA SUITEは検知・通知系ソリューションと管理系ソリューションから成るOSSです。
プロジェクト管理ツールの老舗であるRedmineをベースに開発されています。
SHERPA SUITEは主に3つのツールから成り立っています。
アラート制御システムで自動処理
オペレーターは、様々な監視ツールから届く異なるフォーマットのアラートメールを読み、分類し、登録するという業務を担当することがあります。
限られた業務量であれば問題ないかもしれません。
しかし、アラートの量が膨大になるとストレスも増え、ヒューマンエラーが起こる確率が高まってしまいます。
SHERPA SUITEにはSHERPA-IRというアラート制御システムがあります。
SHERPA-IRでは、JP1などから届くメール電文を解析して取り込み、重複アラートの集約など、様々な自動処理を設定することができます。
もし、監視ツールのフィルタリング機能が充実していなくても、インシデントチケットが重複して登録されることはありません。
チケット自動登録機能や問い合わせ管理機能も
SHERPA-IRで重複アラートを集約すると、SHERPA-SM(インシデント・問合せ管理システム)のチケット自動登録機能が引き継ぎます。
チケットにはユニークなIDが割り振られるので、担当者が替わってもスムーズに対応することが可能です。
自動コマンドの実行や条件分岐判断からの様々なツールとの連携などを自動化することで、オペレーターの負担を大幅に軽減することができます。
他にも、システムの利用者からの問合せ管理(自動受付メール返信、チケット自動作成など)や、自動メール一括送信といった機能も完備。
オプションとして自動電話通知ソリューションも用意されているので、緊急の連絡とそれ以外を峻別することで担当者の負担を減らしつつ緊急対応を確実にすることもできます。
まとめ
このように、SHERPA SUITEは一般的な監視ツールが見逃しているような、業務の効率化に特化した仕組みが満載されています。
また、SHERPA SUITEを導入すれば、様々なツールと連携しながら統一されたインターフェースで運用業務を行えることも強みです。
さらに、SHERPA SUITEはITILに準拠しているので、業務の効率化だけでなく、包括的な業務改善に活かせます。
コスト面でも、SHERPA SUITEはOSSなので、導入に対するハードルはかなり低くなっています。
費用対効果の観点からも一考に値するソリューションと言えるのではないでしょうか。