システム運用・保守における障害とは? 監視強化と障害通知の活用方法(1/2)

運用管理

システム運用・保守における障害とは? 監視強化と障害通知の活用方法

システム運用・保守を行う現場は、システムが24時間365日問題なく稼働しているかを監視しています。
多岐に渡る日々の運用・保守作業の中でも、特に緊張感と迅速な対応を求められるのが障害対応です。
システム障害によりサービスが停止すれば、そのシステムを利用しているクライアント企業や顧客が困るだけでなく、ビジネス上の機会損失や企業の信頼を失うリスクをも抱えています。 
障害の程度や内容によっては社会的な問題に発展してしまうことさえ考えられます。

この様なリスクを回避するために、システム障害を早い段階で発見し、適切な対応をするために必要なツールを探している現場も多く見受けられます。解決手段のひとつにシステム監視ツールが挙げられます。
監視ツールと言っても、機能や設定方法は様々で、使い勝手や導入のしやすさが判断できずに、困っている現場も見受けられます。困っている現場の解決策として、SHERPA-IRがお役に立つかもしれません。
この記事では、システム運用・保守における障害について説明しつつ、弊社のSHERPA-IRと連携させるとどんな風に現場が変わるのか紹介します。

システム障害の種類と主な要因

システム運用・保守における障害とは? 監視強化と障害通知の活用方法

システム運用・保守の現場で発生する障害の原因は多岐に渡ります。
障害原因を正確に把握して対応することは、システム担当者にとって最優先事項です。では、具体的にどのような障害があるでしょうか。即座に担当者が原因特定することは難しいところがありますが、代表的な障害の原因について知っておくことは重要です。

サイバー攻撃による障害

まず考えられるのは、外部から攻撃されることです。サイバー攻撃と呼ばれるものが該当します。
システムはたいていの場合インターネット回線を通じて外部と繋がっています。そのため、外部からの影響をすべて遮断することはできません。
代表的な攻撃方法は、大量のトラフィックを発生させ、障害につなげるDDoS/DoS攻撃です。DDoS攻撃のトラフィックで混乱しているところに、さらに別の攻撃を仕掛けるような事例も確認されています。
特に、個人情報を扱っている企業や政府機関・団体などを中心に日々どこかで発生しており、決して他人事ではありません。

ハードウェア障害

ハードウェア障害は、システムの物理的な機器が故障することで発生します。

ハードディスクの故障、サーバーの過熱、電源装置のトラブルなどが典型的な例です。

これらの障害は、機器の寿命や外部環境の影響によって引き起こされることが多いです。

例えば、ハードディスクの寿命は約3~5年とされていますが、それを超えると突然の故障が起きやすくなります。

また、サーバーが設置されている部屋の温度管理が不十分だと、過熱による障害が発生する可能性があります。これらの問題を防ぐためには、定期的なハードウェアの点検や交換、適切な温度管理が重要です。 

ソフトウェア障害

ソフトウェア障害は、プログラムやアプリケーションのバグ、互換性の問題、ウイルス感染などが原因で発生します。

これらの障害は、ソフトウェアの設計や開発過程でのミス、あるいはアップデートの際に発生することが多いです。

例えば、新しいソフトウェアのアップデートが不完全であったり、既存のシステムと互換性がない場合、システム全体が停止することがあります。

また、インターネット経由でのウイルス感染により、データが破壊されたり、システムが乗っ取られるリスクもあります。

これを防ぐためには、ソフトウェアの定期的なアップデートやウイルス対策ソフトの導入が欠かせません。

例えば、企業のネットワークがランサムウェアに感染すると、重要なデータが暗号化され、復旧するために多額の身代金を要求されることがあります。

このような状況を防ぐためには、最新のウイルス対策ソフトを使用し、定期的にシステムのバックアップを取ることが重要です。

さらに、ソフトウェアの互換性問題についても注意が必要です。

新しいソフトウェアを導入する際には、既存のシステムとの互換性を十分に確認し、テストを行うことが求められます。

これにより、予期せぬシステム停止を未然に防ぐことができます。

人的ミス

人的ミスは、システム管理者やユーザーの操作ミスや判断ミスが原因で発生する障害です。

誤った設定や不適切な操作、パスワードの管理ミスなどがこれに該当します。

人間が関与する限り、完全にミスを防ぐことは難しいですが、適切な教育とトレーニング、明確な操作マニュアルの整備が必要です。

例えば、システム管理者が誤って重要なデータを削除してしまった場合、そのデータを復旧するのは非常に困難です。

また、ユーザーが弱いパスワードを設定したり、パスワードを他人と共有することで、システムが不正アクセスの危険にさらされることもあります。

これらの問題を未然に防ぐために、定期的なセキュリティ教育や適切な権限管理が求められます。

さらに、人的ミスを最小限に抑えるためには、自動化ツールの活用も効果的です。

定期的なバックアップの自動化や、更新作業の自動化により、人為的なミスを減らすことができます。


単一の要因で発生することもあれば、複合的な要因が重なって発生することもあり、障害発生の理由はその都度違います。
どちらにしても、人がシステムを開発して設定している限り、100%障害を防ぐことはできません。
出来うる限りのシステム障害を想定しても、予想を超える事態が発生することは避けられません。
そのため、システム障害が起こることを前提としたシステム運用・保守の準備が非常に重要となってきます。

企業が直面するシステム障害のリスク

企業にとって、システム障害は避けられないリスクの一つです。

特に、デジタル化が進む現代では、その影響はさらに大きくなります。

ここでは、システム障害が企業に与えるリスクについて、「障害発生にともなう高額な損失」と「保守・運用コストの上昇と人員確保」という二つの観点から詳しく見ていきます。

障害発生にともなう高額な損失

システム障害が発生すると、企業は高額な損失を被ることがあります。

例えば、システムがダウンすることで業務が停止し、生産性が大幅に低下します。

これにより、顧客へのサービス提供が遅延し、売上の減少や信頼の低下を招くことが考えられます。

また、データの消失や破損が発生した場合、その復旧には多大な時間と費用がかかります。

特に、顧客情報や取引データが失われた場合、顧客との関係に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

さらに、システム障害が原因で法的な責任を問われることもあり、訴訟費用や賠償金が発生するリスクも存在します。

一例として、大手企業が大規模なシステム障害を経験した場合、その復旧に数百万ドル規模の費用がかかることがあります。

このような損失を防ぐためには、システムの信頼性を高めるための投資が欠かせません。

保守・運用コストの上昇と人員確保

システム障害を防ぐためには、定期的な保守と適切な運用が必要です。

しかし、これには多くのコストがかかります。

まず、最新のハードウェアやソフトウェアを導入し、定期的なアップデートを行うことが求められます。

これに加え、障害発生時の迅速な対応ができる体制を整えるためには、専門的な知識を持つ人材の確保が重要です。

また、システムの運用と保守には、日常的な監視と管理が欠かせません。

これには、高度な技術を持つエンジニアやIT専門家の雇用が必要となり、人件費が増加します。

さらに、24時間体制でシステムを監視するためのシフト制の導入など、人員配置の工夫も求められます。

具体的には、企業がシステム管理者を増員したり、外部の専門業者と契約することで、保守・運用体制を強化するケースが増えています。

これにより、障害発生時の対応力が向上し、長期的には損失を抑える効果が期待できます。

サーバー障害・システム障害への対策方法

では、サーバー障害が発生した場合、どのような対応方法が考えられるでしょうか。
この障害はシステムに対してどのような影響があるのか、また、システムが停止することによる影響範囲を考慮しながら、障害が起こった原因を特定し、システムのダウンタイムを最短で復旧をしなければなりません。

障害が起こった場合、障害内容により対処方法は様々ですが、どのような場合にも、最短で障害原因を把握し、最適な手順をもってミスなく対応することが求められます。
これらを確実に実行する為には、既知の障害に対する対応手順の準備や、未知の障害に対するワークアラウンド対応を確実に熟せる体制づくりが必要です。
適切な対策を講じることで、障害の発生を防ぎ、迅速に対応することができます。

以下に、システム障害への効果的な対策方法を説明します。

1. 障害に強いシステム構成

まず、障害に強いシステム構成を整えることが重要です。

冗長性を持たせることで、特定の部分に障害が発生してもシステム全体が停止しません。

クラウドサービスや複数のデータセンターを活用し、地理的にリスクを分散させることも有効です。

さらに、ロードバランサーを使い、トラフィックを均等に分散させることで、システム全体の安定性を確保します。

2. システム障害を予防するための仕組み

システム障害を予防するためには、事前の準備と定期的なメンテナンスが欠かせません。

定期的なメンテナンスを行い、システムのハードウェアやソフトウェアをチェックし、必要なアップデートを迅速に行います。

予防的な監視ツールを導入し、システムの状態を常に監視することも重要です。

これにより、異常を早期に検知し、問題が発生する前に対策を講じることができます。

3. 早期の障害検知

システム障害を早期に検知することで、被害を最小限に抑えることができます。

リアルタイムのモニタリングシステムを導入し、異常が発生した場合には即座に通知が届くように設定します。

ログの分析やアラートの設定を活用し、問題の兆候を見逃さないことが重要です。

4. 迅速な障害復旧

システム障害が発生した際には、迅速な復旧が求められます。

バックアップ体制を整え、障害発生時に迅速に復旧作業を行えるよう準備しておきます。

バックアップデータは定期的に更新し、復旧手順もマニュアル化しておくことが重要です。

また、定期的に復旧訓練を行い、スタッフが実際の障害発生時にもスムーズに対応できるようにします。 

システム障害への対策をしっかりと講じることで、リスクを最小限に抑え、業務の継続性を確保することができます。

システム障害発生時の対応の流れ

システム障害が発生した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。

ここでは、システム障害発生時の対応の流れについて、「障害の把握と内容の確認」、「関連部門への一次連絡」、「影響範囲と原因の調査」、「復旧作業」、「事後対応と再発防止」の五つのステップに分けて詳しく説明します。

障害の把握と内容の確認

まず、システム障害が発生したことを把握し、その内容を確認します。

監視システムやアラート通知により、障害の発生を速やかに検知します。

次に、障害の具体的な内容、発生時刻、影響範囲などを詳細に確認します。

この段階での正確な情報収集が、その後の対応をスムーズに進める鍵となります。

関連部門への一次連絡

障害の内容を確認したら、速やかに関連部門への一次連絡を行います。

IT部門やシステム管理者、場合によっては経営層にも連絡を行い、障害発生の事実と初期情報を共有します。

この際、連絡手段として電話やメール、チャットツールなどを活用し、迅速な情報伝達を図ります。

関連部門が迅速に集まり、対応策を協議するための準備を整えます。

影響範囲と原因の調査

次に、障害の影響範囲と原因を調査します。

システムログや監視ツールのデータを分析し、障害がどの部分にどの程度の影響を与えているかを特定します。

また、障害の原因がハードウェアの故障、ソフトウェアのバグ、人為的なミスなど、どの要因に起因するかを調査します。

この調査結果に基づいて、適切な復旧策を検討します。 

復旧作業

影響範囲と原因が特定されたら、復旧作業に移ります。

まず、緊急度の高い部分から順に復旧を進めます。

例えば、業務に直結する重要なシステムから優先的に対応します。

復旧作業中は、進捗状況を関係者に随時報告し、必要に応じて追加のリソースを投入します。

また、復旧作業の過程で新たな問題が発生した場合には、迅速に対応します。

事後対応と再発防止

復旧作業が完了した後は、事後対応と再発防止策を講じます。

まず、障害の発生原因と対応内容を詳細に報告し、関係者全員で情報を共有します。

次に、同様の障害が再発しないよう、システムの改善点や運用方法の見直しを行います。

例えば、監視システムの強化やバックアップ体制の再構築、社員教育の強化などが考えられます。

また、定期的に障害対応の訓練を行い、実際の障害発生時に迅速かつ適切に対応できるよう備えます。

システム監視ツールを利用するメリット

よくあるシステム障害の要因や解決策を解説してきました。解決策を実際に運用するためには「システム監視ツール」を導入することでより精度の高いシステム運用・保守を実施する体制を整えることが可能です。本項では導入するメリットを解説します。

システム監視ツールを利用するメリットとして、限られた人員の有効活用と目の届きにくい部分を漏れなく監視できることが挙げられます。

もし、システム監視ツールを使わなければ人員を割いて常時サーバのログイン状況をはじめ、運用状況を目視で確認しなければなりません。24時間365日休みなく人がシステムを手動で確認することは、とてもではありませんが現実的な手段とは言えないでしょう。

また日本では、間接部門に位置づけられるシステム運用業務は毎年のようにコスト削減を要求され、リソースの確保もままならない状況が続いています。

さらに、高齢化、人口減少が続く日本では、政府の試算によると2020年には約31万人、2030年には約79万人もの人材が不足するといわれています。IT業界ではエンジニア不足で、競合企業と熾烈なエンジニアの取り合いが起こっているため、簡単にシステム運用に技術力のある人材を配置する決断は出来ない状況となっています。
そのような中で、近年働き方改革が叫ばれ、効率よく人員を配置し無理なく運用できる環境や体制を構築することが求められています。
この様に、相反する要求にこたえるにはどのようにすればよいのでしょう?

その一つの例として見られるのは、オープンソースをベースとしたシステム監視ツールの導入です。
市販のシステム運用監視ツールは、システム規模が増えるにつれて、ライセンスと保守の費用が増える為、コスト削減を死守しなければならない企業では、オープンソースをベースとしたシステム監視ツールを選択する運用部門が増えています。

また、システム監視ツールの役割は監視対象の状態変化を正確に収集する事なので、障害原因の解析やその障害に対してどのような対応をすべきかの判定をするには、人、場合によってはシステムを理解したシステムエンジニアなどが必要になります。

更に、監視ツールからのアラート処理判定や集約判定は、あらかじめ発報されるアラートを想定し、相対するルールを構築し維持管理していく必要があります。

近年、急速に、システム運用管理ツールからのアラートから、障害内容を解析し、対応する処理を自動判定するツールを導入することで、技術レベルの高い運用リソースの配置や、人手を介せずにアラート内容に該当する対応処理が行える、ルールベースで自動化出来るツールとの連携のニーズが増えています。

これらのツールは、ツールに判定や処理ルールを追加していくことにより、そのルールを適応したアラートは該当する処理が実行されます。 机上で運用を考えるだけではなく、具体的なルールを設定し、正誤の判定やルール適応の改善状況可視化が出来るので、導入切替の課題や運用改善の面においても大きなメリットとなります。

このように、システム監視ツールの導入は、現場の負担を軽減し、効率的な運用を実現するための有力な手段となります。ここで、弊社のSHERPA-IRの導入がどのように役立つかについて詳しく見ていきましょう。

SHERPA-IRとは

障害が発生すれば一刻を争って障害対応を行わなければなりません。

システム運用現場では障害対応手順などの操作に関する改善は割と行われていますが、運用全体の改善までは手が回らないのが悩みとなります。

障害発生から復旧完了までの間には様々なステップがあり、多くの現場では人手に頼ったリソースありきの運用をしているのが実情です。
しかも、その作業が煩雑で数が多くなってくると、急激に時間がかかりミスも多くなります。

この様な運用対応プロセス業務をSHERPA-IRで自動化すると、今までかかっていた時間と労力が大幅に簡略化され復旧作業を集中して行うことが出来ます。
また、同一障害のアラートが重複して出てしまう環境では、自動実行処理も重複して実行してしまう為、ジョブツールやRPAなどの自動処理ツールとの自動連携はできませんでした。

SHERPA-IRを使うと、同一アラートの集約処理後、処理実行の要不要判別をはじめ、発生時間帯やその他条件を考慮し、障害対応チケットを介して該当する自動化ツールと自動連携が可能となります。
こうしたオペレーションの自動化で、効率化・高品質化・コスト削減の3つを実現します。

SHERPA-IRについてはこちら

システム監視ツールとSHERPA-IRとの連携による効率化

システム監視ツールとSHERPA-IRとの連携によってどのような効率化が実現されるのでしょうか。
SHERPA-IRは様々なシステム運用監視ツールやログシステムなどから通知されたアラートを解析し、各種インシデント管理ツールやジョブ管理システムなどへのメール連携やコマンド実行連携機能として導入することが可能です。
また、アラート電文に該当する手順書等の情報を付加する事もできますので、今まで人員を割いていた業務をSHERPA-IRによって効率化できるだけでなく、漏れのない監視も実現することができます。

ここで、具体的な連携による効率化の一例として、アラート通知と自動化対応について見てみましょう。

SHERPA SUITE導入のメリット

SHERPA SUITEはシステム運用・保守の現場や担当者が抱えている様々な問題を金額的な面からだけでなく、人的配置の面からも解決に導いて、働き方改革につなげます。

近年、特に安定的なスキルを持ったシステム担当者を採用・育成することは難しく、IT業界全体が抱えている大きな悩みとなっています。仮にいい人材がいたとしても、採用するために常に熾烈な競争が起こってしまい、結果的に思うような人材を採用できていない現場が大半となっています。人を確保できなければ、安定的にシステム運用を実現できるツールを導入して効率化を図ることを視野に入れることになります。こうした現場の悩みに応えられるのが、SHERPA SUITEです。

特に初期対応で起こりがちな煩雑な業務を自動・一元化して軽減できることは大きな魅力で、担当者にかかっていた大きな負担が軽減されます。負担軽減された時間と労力は、より重要な業務に振り分けることが可能となり、少ない人員でも効率よく業務に取り組める環境を実現します。

もちろん昨今の働き方改革にもマッチしており、担当者の労務環境への満足度と同時にクライアント・顧客からの信頼度向上へとつなげていきます。

SHERPA SUITEについてはこちら

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SHERPA SUITE
監修 SHERPA SUITE運営事務局 オープンソース(OSS)を活用した運用管理ソリューションであるSHERPA SUITE(シェルパスイート)の運営事務局です。SHERPA SUITEは、SHERPA-IR(イベント制御)・SHERPA-SM(インシデント管理)・SHERPA-JB(ジョブ)ソリューション群の総称となり、システム運用におけるコスト削減及びサービス品質を向上します。SHERPA SUITEについてはこちら。

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