単にツールを導入するだけでは不十分!

運用管理

対応体制まで一体化したシステムになっているか

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システム運用の世界では、「新しい売上管理システムを導入したが、障害が多くて、結局古いシステムに戻してしまった」といった事例を聞くことがあります。単純にシステムに問題があったのであれば、他のシステムを導入すればうまくいくはずですが、実際には「ツールを導入すれば運用体制も万全だ」と思い込んでいたことが原因の場合もあります。

例えば、監視ツールを導入したことで、アウトソーシングなどによるコストダウン等は実現するかもしれません。しかし、監視ツールが障害を検知したら「手順書どおりに対応する」、あるいは「業者へアウトソーシングする」というだけでは、システムの安定運用・維持管理はできないことが多いのです。

まず、手順書は正しく使えているでしょうか。そもそも最初に用意される対応手順書は、監視サーバーを設置した直後から劣化すると見ておくべきなのです。現在の運用管理システムは、導入したら耐用年数が来るまで同じ動作を繰り返す機械ではありません。ユーザーの変遷やコンテンツの変更、システムの増強などにより、システムそのものが変化していくのが普通です。すると対応手順書も更新されなければなりませんが、自動的に更新されるわけではないので、新しいタイプの障害では手順書に記載がないこともあり得ます。手順書はできるだけ迅速に更新し、しっかり管理しておかなければ役に立たなくなってくるのです。

また、複数の障害に対応する方法は手順書に書かれていないのが普通です。実際の運用では複数の障害が同時に発生することが多いため、根本的な障害を見抜く力がなければアラートごとに手順書を参照しながら一つ一つ対応することになります。アウトソーシングしている場合も手順書に沿って対応しようとするでしょうが、多数の障害が出た場合は手に負えなくなって発注者に上申してくる場合もあります(エスカレーション)。そうなると、外部業者からのエスカレーションに対応する部門も必要になってしまいます。

さらに、業者にアウトソーシングすると「監視ツールの管理」がおろそかになりがちです。アウトソーシング先ではシステムそのものを理解しようとはせず、手順書に基づいた対応しか行わない場合があります。発注元は穴が出ないように、管理手順や手順書の書き方などの資料をきちんと揃えておかねばなりません。また、監視ツール自体のアップデート、セキュリティホールへの対応などを誰が行うのかも決めておかねばならないでしょう。

もう一つ、アウトソーシング先に緊急性のないものをフィルタリングしてもらうという行動も問題をはらんでいます。もし、頻繁に発生する障害がフィルタリングされてしまえば、発注元には問題の根本原因がわからなくなる可能性があります。すると同じような問題がずるずると継続することもあり得るのです。

このように、ツールを導入しただけではシステム改善がなされたとは到底言えません。自社で対応できる体制を取るか、高度な対応まで含めて丸ごとアウトソーシングするか。いずれにせよ障害対応までが一体となったツールの運用が求められるのです。

SHERPA SUITE
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