ITILを永続的に回すには
サービスマネジメント、あるいはITサービスマネジメントとは、ビジネスが必要とするITサービスの安定的な提供と継続的な改善を管理するための仕組みのことです。単なるシステム開発・構築・運用だけでなく、「ビジネスの発展に貢献するITサービスマネジメント」の視点が必要です。ITサービスが一般化した現代社会では、これが定着しなければサービスを長期に渡って成功に導くのは難しいと言えるでしょう。
ITILはITサービスマネジメントの成功事例を体系化したガイドラインなので、当然ITサービスマネジメントの定着化にも貢献することができます。ITILには「継続的サービス改善」という考え方があり、ITサービスマネジメントを考える上で大変参考になります。
サービスマネジメントの定着と改善を図るには、まず次の3つの活動が必要です。
- サービス測定
- サービス報告
- ルールやフォーマットの文書化・体系化
①はITILの各プロセスがきちんと回っているかを測る活動です。サービスストラテジやサービスレベル管理などを測定、記録し、報告できるようにします。
②は測定した内容をサービスプロバイダの責任者や顧客に定期的に伝えること、③はサービスマネジメントルール全般を体系化すること。具体的には①②も反映させながらマニュアルや管理簿、報告のフォーマットなどを整備し、サービスプロバイダ内で共有し、定着させます。
サービス測定とサービス報告に関しては、7ステップの活動が定義されています。
- 測定すべき内容の定義
- 測定できる内容の定義
- データの収集
- データの処理
- データの分析
- 情報の提示・活用
- 是正措置の実施
「面倒そうだな」と思われるかもしれませんが、実際にはITILのプロセスを回してきた中で測定対象の定義はできているはずです。データに関しても、すでにあるデータベースなどから引っ張ってこれるでしょう。後はこれらをまとめて報告し、是正が必要な場合は措置を実施する。このプロセスを定期的に行っていけばいいわけです。
ちなみにビジネス目標を達成するための重要な成功要因をCSF(Critical Success Factor)、その重要要因の達成度合いを図るための評価指標をKPI(Key Performance Indicator)と言い、測定値を設定する際はSMART(具体的か、測定可能か、達成可能か、適切か、タイムリーか)を意識して設定すると良いとされています。
文書化・体系化においては、例えば次のような階層に分けて行うと良いでしょう。
- サービス計画書(全体像を定義)
- 実施手順(各プロセスごとに作成)
- マニュアル・申請書・報告書(個々の業務レベル)
- 管理簿・管理台帳(構成管理の構成情報などを記録しておく)