構成管理と資産管理の違い
今回はITILのサービスサポートにおける6つの運用プロセスの4つ目、「構成管理」をご紹介します。
構成管理はITILの中でも根幹を担うプロセスです。構成管理では、ITサービスを効果的に提供するために必要な資産(IT構成)を正確に維持・管理することを目指します。「資産管理と何が違うの?」という疑問が出てくるかも知れませんが、資産管理ではすべてのIT資産を識別して管理します。例えばPCが5台あれば、5台すべてに資産管理番号をつけて管理するのが資産管理。これに対して、構成管理ではCI(Configuration Item:構成アイテム)を管理します。CIとはITインフラを構成している要素のこと。もし5台のPC構成がまったく同じであれば、CIは1つで良いのです。
構成管理ではハードウェア、ソフトウェア、契約書、仕様書、設計書などが管理対象となります。
構成管理はサービスサポートの中心的存在
CIは「属性」と呼ばれる情報から成り立っています。属性の構成要素には次のようなものがあります。
- 一意の識別子
- CIタイプ
- 名前・説明
- 場所
- 提供日
- ライセンス情報
- オーナー
- ステータス
- サプライヤー情報
- 関連文書
- 関連ソフトウェア
- 監査証跡当のデータ
- リレーション情報
- SLA
用語は資産管理と重複するものもありますが、関連文書(契約書や機密保持契約書)やリレーション情報(他のCIとの関係を説明する情報)などは構成管理独自のものです。
さらに構成管理ではCMDB(Configuration Management Database:構成管理データベース)と呼ばれるデータベースを作成します。CMBCでは関連のあるCI情報をすべて管理します。マニュアルや契約書、トラブルが発生した時の連絡網などを把握しておくこともITインフラを維持・管理するためには必要です。例えばインシデント管理や問題管理でも、過去にどのCIに変更があったのかすぐにわかれば早期解決が望めます。構成管理は他のプロセスを支える中心的存在なのです。
構成管理の具体的な活動は以下の通りです。
- 計画立案
- 構成の識別
- 構成コントロールの説明
- ステータスの説明
- 検証
- 報告
構成管理の目的や方針を決め、CIをレベル分けし、CMDBに登録。CMDBを最新の状態に維持しながら、CIの現在の状況や過去の更新情報を提供しつつ、CMDBの情報が正しいのか定期的にチェックします。
なお、構成管理が成功したかどうかはKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)で測ります。KPIをあらかじめ定めておくことで、その活動の導入によってどの程度の効果があったのかがわかりやすくなります。