インシデントをいかに登録するか
運用プロセスのマネジメントを効率化するために統合運用管理ツールを選ぶ場合、大きく分けて3つの作業を考える必要があると言われています。それは「情報の登録」「情報の管理」「作業実績の管理」の3つです。これらはITILのサービスサポートにおける6つの運用プロセス(「サービスデスク」「インシデント管理」「問題管理」「構成管理」「変更管理」「リリース管理」)を効率的にマネジメントする観点から統合運用管理ツールに求められる能力を3つに大別したものになっています。今回は「情報の登録」について解説します。
まず、「情報の登録」では、統合運用管理ツールでインシデント(障害報告など)を入力した時に、関連があるシステムの構成や過去の障害対応履歴(ナレッジ)、SLA(サービス・レベル・アグリーメント。利用部門などに対して提供するITサービスの内容やレベルを保証する契約のこと)などを即座に参照できるかどうかが重要です。障害に対する対応の速さと密接に関わっているからです。
統合運用管理ツールの中には、どのようなIT資産を所有しているのかを視覚的に表示する機能を持ったものがあります。これらの統合運用管理ツールは障害対応履歴の検索やSLAを表示する機能も備えています。インシデントを入力する際には、過去のインシデントを自動的に検索してトラブル情報を参照することもできます。
「情報の登録」で2つ目に重要なことは、ユーザー情報や障害対応のエスカレーション先プロセス(上位のシステムに対応を依頼して引き継いだ先の情報)などを簡単に登録できるかどうかです。誰が使用している時に起こったインシデントか、解決依頼を引き継いだのは誰か。これらの情報にメニューから即座にアクセスできることが重要です。
3つ目に重要なことは、サーバー監視ツールなどから自動的にインシデントを登録できるかどうかです。特に大規模なシステムでは人の手による入力では間に合いませんので、自動的にインシデント情報を蓄積し、いつでも引き出せるようにすることが迅速な対応につながります。
例えば統合運用管理ツールには、検知した障害(インシデント)を自動登録し、担当者に通知するようになっているものもあります。このようなツールを使えば「いつ」「誰が」「何をしたか」を時系列で一覧表示でき、未処理の案件や最優先案件の件数などまで一元管理することができます。